東京大学入学試験から学ぶ英文和訳の解き方について

ライティング

英文和訳問題に対して、苦手意識を持っている方も多いのですね。

直訳はできても、それでは日本語としてなんとなくぎこちなくて、もっとよく考えて修正したいのだけれど、試験時間も限られているのでそこまでいかずに提出せざるを得ない。

もっと洗練された日本語にできればさらに高得点が得られたのではと悔いが残ります。

それどころか、あんなにぎこちない日本語ではそもそも正解とされただろうか、などと不安になったりもしますね。

確かに、入試の採点官はできるだけ厳しい採点をし、得点を抑えて合格者の選別をしようとしますから、英文和訳においても、日本語のぎこちなさに対しては極力減点していくという考えでいるはずです。つまり、あえて「記述内容不明」などと判断するのです。

公開されています、難関国立大学の入試問題を例に挙げて、どうすれば日本語としてなめらかな訳文を書くことができるのか考えてみます。

それほど長い文章ではありませんが、しっかりと読み取って、直訳ではなく日本語としてわかりやすい意訳を求められる英文和訳が出題されています。

設問は「次の英文を読んで、下線部分の和訳をせよ」です。

英文和訳1 英国人と天気

It is said of the British that, when two people meet, their opening exchange is about the wheather. This can be interprited as a result of Brirain’s changeable climate. After all, it would be meaningless for two Egyptians meeting in July to say “Another sunny day, then,” while in Britain it is at least reasonable to express some surprise. Such opening remarks may also reflect a ceratin self-restraint or even politeness since they allow either party to depart after a sentence or two if they are in a hurry.

まずは、下線部分の文章を、前置詞ひとつ、冠詞ひとつも落とさずにすべてを訳してみます。
日本語としてはぎこちないですが、これができてはじめてすぐれた意訳ができるようになるのです。

直訳文
「彼らはお互い相手に、もしも彼らは急いでいるのならば、一言二言のやり取りの後で別れることを許容するのであるから、そのような冒頭のやりとりはある種の自己抑制あるいは礼儀正しいことさえを映し出しているのかもしれない。」

問題文の趣旨と背景

問題文全体をよく読んでみますと、それは、英国紳士の洗練された文化の紹介でもあるのです。

おそらくこれは大都会ロンドンでの知人との偶然の出会いの時に、お互い忙しい身なので目的地に急がねばならないが、知人に対する最低限の礼を尽すことも忘れてはならない。

そこでお互いに天候についての言葉を交わし、それによって「お元気ですか、最近どう、ご家族は・・・」などというあいさつをすべて省略しているということなのですね。
そういった背景を理解して、意訳を試みてみましょう。

問題文1行目にでてくるmeetは偶然の出会いから、アポイントをとっての面会まで幅広く使える単語ですが、ここでは「偶然の出会い、ばったり出会った」という意味です。

そんな出会いのときに、さっと会話してさっと別れて行けるための話の内容がそのときの天候状態についてである、ということなのですね。

仮に積る話があったとしても、お互いの予定を尊重し、できるかぎりあっさりと別れることを必要とされているのです。

意訳文1
「そのような出会いの会話はある種、自己抑制、あるいは相手に対する謙譲の反映といえるかもしれない。急いでいるときはとりあえずその一言二言だけでお互いに立ち去ることができるということで。」
意訳文2
「さらにまたいえるのは、多忙な中での偶然の出会いに、天候について一言二言言葉を交わしてお互い立ち去ることが相手の立場を尊重した紳士的振る舞いなのだ。」

助動詞mayを「さらにまたいえるのは」という、問題文中での英国の天候の変わりやすさの話題から紳士的振る舞いの話題への転換の意として訳してみました。

参考までに、下線部分以外の和訳と、キーとなる単語の説明を記載します。

「英国人二人が出くわすと、まずは口から出てくるのは天候の話題といわれている。
これはいかに英国の天候が変わりやすいものであるかということを示している。
つまり、7月にエジプト人が出会った人に「それにしても、また良いお天気で。」と言い合うことに何の意味もないだろうが、英国では晴天にすこし驚きあうことにはかろうじて理由があるといえるのだ。」

主要単語

– it is said:言われている。
– the British:英国人。
– opening exchange:しょっぱなのやりとり、先ず最初のやりとり。
– interprited as: ~と解釈される、みなされる、説明される、示される。
– Britain:英国。
– changeable:変わりやすい、気まぐれな。
– climate:気候。
– after all:やはり、結局は、つまり。
– would:ここでは推量を表す助動詞です、~だろう。
– meaningless:無意味な。
– Egyptians:エジプト人。
– Another sunny day, then:それにしても、また良いお天気で。
– while:接続詞、~なのに、しかし一方。「7月の晴天に対して」といった言葉が省略されていると考えられます。
– at least:少なくとも、まがりなりにも。
– reasonable:道理にかなった、合理的な。
– some surprise:すこしの驚き。
– opening remarks:最初のことば、出会いの会話。
– may:かもしれない。
– reflect:反映する。
– certain:わずかの、若干の、ある種の。
– self-restraint:自制、自己抑制、自己規制。
– politeness:礼儀正しさ、丁寧、礼儀正しい言動。
– either party:いずれの当事者、お互い。
– depart:その場を去る。
– a sentence or two:一言二言、少しの言葉。
– in a hurry:急いでいる。

英文和訳2 小麦畑の肥沃度

John Fenton, manager of a 7,000-acer estate in Humberside, is woking with a Danish combine harvester manufacture, Dronningbourg, on a method of using computers to map levels of fertility in different parts of a field. The aim is to make labour, chemicals and machinery work together more effectively.
It never occurs to most of us that a field of wheat is anything but a uniform whole. But the crop produced in one part of a field can be three times that of another.
直訳文
「小麦畑が均一な全体であることなどないということはわれわれのほとんどには決して思い浮かばない。しかし畑のある一部分にて生産された収穫高は他のある部分の収穫高の三倍になりえる。」

下線部1文目の、anything butとa uniform wholeの2ヶ所をうまく意訳することが求められています。

anything but- 決して~ではない、~などではない。→絶対にそんなことはない。
a uniform whole- 均一な全体。→すべてが同じ状態。

この二つを合わせて意訳すると→なんと部分によって異なっているのである。

意訳文
「なんと小麦畑が部分によって異なっているなどとはだれも思わなかった。しかし実際に場所により収穫高は三倍もの差がつくのである。」

下線部以外の訳と単語解説

「ジョン・フェントンはハンバーサイドで7000エーカーの土地を管理し、デンマークのコンバイン製造業者ドローニングボーグとともに、畑の部分ごとの肥沃の度合いを地図に示すための自動計算方法について共同開発している。
その目的は労働力、農薬、機械作業の集約的な効果性をより高めていくことにある。」

– manager:管理者。
– estate:土地。
– work on:取り組んでいる。
– map:地図に示す、解読する。
– level:度合い、程度。
– fertility:肥沃さ、土地の産出力。
– different part:いろいろな部分。
– aim:目的、計画、意図。
– effectively:有効に、効果的に。
– occur to:思い浮かぶ、頭に浮かぶ。
– a field of wheat:小麦畑。
– a unform whole:均一な全体。
– crop:収穫物、収穫高。
– that of another part:the crop of another part of a field

英文和訳3 冗談がすべってしまった

It is a well-known fact that the same things are not funny to everybody. We have all at some time made what we consider to be a witty remark at the wrong time and in the wrong company and have consequently had to suffer severe embarrassment to find the joke falls flat. Unspoken rules govern where, when and with whom it is permissible to joke.

下線部分の直訳

「私たちみんなは時に、私たちがふさわしくない時にふさわしくない人たちの中でしゃれを言ってしまったのだと認めることとなり、そしてその結果として、その冗談が受け入れられていないと気づくという痛烈なきまりの悪さに直面してしまったことはあるものだ。」

make what we consider~- ~に気づく。
the joke falls flat- その冗談はつまらない。a flat joke →つまらない冗談。

全体を意訳してみました。

「知っての通り、だれもかれもが同じことをおもしろいと思うわけではない。
時には、しゃれをきかせたつもりがふさわしくない時と相手であったので、その冗談がすべってしまっているということに気づいてひどくきまりの悪い思いをさせられた、なんていうのはだれでもよくあることだ。
冗談をいってもいい場所と時と相手が誰かということについては暗黙のきまりがあるのだ。」

使われている英単語

– well-known:よく知られた、周知の。
– fact:事実。
– the same things:同じこと。
– aii:We allのall、われわれだれでも。
– at some time:時には。
– what:関係代名詞whatの目的格用法、私たちが~とみなしたこと。
– a witty remark:しゃれ、とんち、冗談。
– at the wrong time and in the wrong company:ふさわしくない時にふさわしくない人たちに対して。
– and have:この間にweが省略されています。
– severe embarrassment:痛烈なきまりのわるさ、狼狽。
– consequently:したがって、その結果として。
– the joke falls flat:その冗談が理解されていない、すべっている。
– unspoken rules:暗黙のきまり。
– govern:支配する、管理する、抑制する。
– permissible:許される、差し支えない。
– joke:冗談を言う。

まとめ

直訳は決して間違いではありませんが、英文和訳問題では、できるかぎり自然な日本語に訳したほうが高得点となると思います。
英文和訳をするときは、日頃から直訳で終わらずにもっと進んだ訳を考えるようにしていきましょう。
そのコツとしましては次のようなことになりますね。

・与えられた問題文全体の趣旨を把握する。
・英文から離れて、趣旨に沿った日本文での表現を考えてみる。

そしてもう一つ解答の際に重要なのは、できるだけ丁寧な字で、誤字のないようにする、ということです。
手書きの答案の場合は、そのようにして採点官への敬意を表すことも大事です。

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